経済活動を変える最新のFintech(フィンテック)サービスまとめ

経済活動を変える最新のFintech(フィンテック)サービスまとめ

1.決済から仮想通貨まで、最新のフィンテックサービスまとめ

「Finance(金融)」と「Technology(技術)」を掛け合わせて生まれる「Fintech(フィンテック)」。国ごとの投資額や支出額で見ると、日本は米国やイギリスなどのフィンテック先進国に比べまだまだ成長の余地があるものの[1]、個人や企業の経済活動に革命を起こすものとして期待が集まります。今回は、フィンテックのサービスによりどのようなことができるのか、国内外の最新のサービス事情を取り入れながらまとめます。

決済・送金
人々の生活に最も浸透しているフィンテックサービスの一つが、この決済サービスでしょう。フィンテックの先駆者ともいえるPayPalをはじめ、多くの個人向け・法人向けサービスが登場しています。国内では、モバイルにチャージするだけで簡単に支払いをしたり、口座を知らなくてもLINEで繋がっている相手であれば簡単に送金したりできるLINE Payなどが有名です。小売業に大きな恩恵をもたらしたのは、スマートフォンでクレジットカードの決済を行える楽天ペイSquareなどのモバイル決済サービス。さらに、既存の金融機関を使って行った場合、高い手数料がネックとなっていた海外送金にも、手数料を大幅に抑えるTransferWiseなどのフィンテックサービスが革命を起こしています。

ソーシャルレンディング
オンライン上でお金を借りたい人・企業と、貸して運用したい人・企業を結びつけるマッチングサービスのことで、「P2P融資サービス」などとも呼ばれます。既存の金融機関では与信調査に莫大なリソースを使っていましたが、それをコンピューターとビッグデータ、AIを駆使することで、よりスピーディに低コストで行います。金融機関に最大の影響を与えると言われるフィンテックサービスの一つで、米国では最大手のLendingClubをはじめ、多くの企業が同サービスを提供しています。

投資・資産運用
少額から始められるものや、AIを使って運用を行うものなど、個人による投資や資産運用のハードルを下げる多様なサービスが登場しています。TORANOTECが提供するトラノコは、「すべての人を投資家に」というキャッチフレーズの下、クレジットカードや電子マネーを使用した際の端数、いわゆる“おつり”を投資に回すことができるサービスを提供しています。米国のe-Toroは、パフォーマンスによるトレーダーのランキングを公開し、パフォーマンスの良いトレーダーのストラテジーをコピーすることで、経験のない人でもプロのような運用を可能にします。

会計
こちらもfreeeやマネーフォワードのMFクラウド会計などのクラウド会計サービスが、国内でも広く浸透してきており、中小企業の会計・経理においてスタンダードとなりつつあります。

クレジットカード
米国では複数のクレジットカードを1枚に統合できるユニバーサルクレジットカードというサービスを複数の企業が提供しています。さらに最新のFinalというサービスでは、1枚のカードを作るだけで、バーチャルのクレジットカード番号をいくつでも発行することができます。その固有のバーチャル番号を使ってオンラインで買い物をしたり、サービスの支払いをしたりすることで、万が一利用するサービスでカード情報が漏洩することがあっても該当のカード情報を削除するだけで済みます。登録情報に変更があった場合でも管理が簡単で、利用状況や明細もすべて携帯で確認できます。

仮想通貨
ビットコインに代表される仮想通貨や関連するブロックチェーンをはじめとする技術もフィンテックの1つです。bitFlyerは、国内最大のビットコイン取引量を誇る取引所です。さらに、企業が独自の仮想通貨等を発行することで資金調達を行うICO(Initial Coin Offering)を行う企業が、米国を中心に増え始め、ICO専門の検索サイトCOIN JINJAなども生まれています。

2.国内のフィンテック成長のカギは?

個人・法人問わず、ますます活用が進むと予測されるフィンテックサービス。フィンテック先進国の1つでもあるイギリスでは、すでに65%の企業が何らかのフィンテックサービスを導入しており、1年平均5,500英ポンド(約82万円)以上のコスト削減に成功しているとの調査結果も。さらに経費のレポートや給与明細の発行など、社内における経理関係の事務にフィンテックサービスを利用しているという企業が62%、部署への予算配当に利用しているという企業が23%に上るなど[2]、ビジネスにおいてもフィンテックサービスの活用が進んでいます。

利便性とは引き換えに情報セキュリティに対する人々の不安が、普及への課題の1つとなっているフィンテックサービス。各サービスにおける安心・安全の実現が、国内におけるフィンテック成長のカギになるとも言えそうです。

(文/星野みゆき 画像/© newb1 – andranik12

参考:
[1] 金融庁. (2017). フィンテックに関する現状と金融庁における取組み
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/4th_sangyokakumei_dai4/siryou1.pdf

[2] Netimperative. (2017). Financial technology: 65% of UK businesses embrace fintech
http://www.netimperative.com/2017/09/financial-technology-65-uk-businesses-embrace-fintech/