
総選挙を今週末にひかえ、テレビも新聞もオンラインメディアも選挙一色になり盛り上がっていますが、情報セキュリティの世界でも選挙は今世界から注目を集めています。きっかけは昨年米国で行われた大統領選挙です。米国は選挙前から、ロシア政府が選挙システムにサイバー攻撃を仕掛けていると主張。先日米国土安全保障省が、全米50州のうち21州の選挙システムがサイバー攻撃にあったことを確認し、各州に伝えています。その中には、選挙戦の鍵を握ったフロリダやウィスコンシン、ペンシルバニアなどの州も含まれていました[1]。具体的な内容は明かされていないものの、有権者情報などへアクセスしようとしていたのではないかと言われています。
今年5月に行われたフランスの大統領選挙においても、世論調査においてリードしていたマクロン陣営(現仏大統領)が、大規模なサイバー攻撃の被害に遭い、大量の電子メールや内部文書を流出させました[2]。また先月行われたドイツの連邦議会選挙でも、サイバー攻撃のリスクが度々ニュースになるなど[3]、今世界の選挙はサイバー攻撃との戦いになっているといっても過言ではありません。
さらに今年7月に行われたサイバーセキュリティのビッグイベント「DEF CON」では、選挙に関連し人々を驚かせる情報セキュリティ上のリスクが明らかになっています。ラスベガスのイベント会場には実際の投票機が用意され、その場でハッキングを試みるイベントが行われました。結果、用意された30台すべての投票機が2時間以内にハッキングされ、データを書き換えられてしまったものもありました[4]。
日本を含む多くの国では、電子投票はまだ試験段階であり、電子投票機の情報セキュリティが直接的に選挙結果を左右する可能性は低いものの、米国の一部の州やブラジル、エストニアなど、電子投票を開始している国もあります。また、無効票の解消や投票率の向上、開票作業の効率化、長い目で見たコスト削減を目指し、投票や開票にも電子化の波が訪れることは十分に予想されます。
日本ではまだ選挙に関連したサイバー攻撃は、少なくとも明らかになっていません。しかし、有権者データへの不正アクセスや、フランス大統領選のようなサイバー攻撃による情報漏えいは、いつ起こっても不思議ではありません。最近では、米国内で大統領選挙前にFacebookやYouTube、Gmailといった多くの人々が使用するプラットフォームに、ロシア政府関係者が政治的メッセージの強い広告を出稿し、選挙への干渉を試みていたことも明らかになっています[5]。日本でもWEBサイトやSNSなどオンライメディアを活用した選挙運動が浸透してきおり、こうしたオンライン上の情報操作やフェイクニュースの拡散が起こる可能性も否定できません。
米国の例を見れば分かるように、前例のない選挙へのサイバー攻撃は、選挙後時間が経ってから明らかになることも多く、他国の事例に学びながら事前の対策を講じることが大切と言えそうです。
(文/星野みゆき 画像/© ra2 studio – Fotolia)
参考:
[1] The New York Times. (2017). U.S. Tells 21 States That Hackers Targeted Their Voting Systems
https://www.nytimes.com/2017/09/22/us/politics/us-tells-21-states-that-hackers-targeted-their-voting-systems.html