東京オリンピックへ向けて投資が加熱する日本の防犯カメラ市場
最近、犯罪捜査において「防犯カメラ」によって記録された映像がきっかけとなり、容疑者が検挙されるニュースが何度も報じられている。最新式の防犯カメラは人ごみのなかから特定の人物を探し当てるなど、技術が大きく進歩しているという。
3年後に開催が迫った東京オリンピック。東京は2016年に英国の情報誌「Monocle」の調査で「世界で生活の質が高い都市」として首位に立った[1]。「巨大都市であるにもかかわらず、治安が良く、静かだ」というコメントからは、世界が抱く東京に対しての「イメージ」が読み取れる。東京は前年2015年から首位を堅持し、日本のマスメディアでも大々的に取り上げられるなど、そのイメージを強固なものにしている。東京の各所に設置された防犯カメラもこの治安維持に一役買っているのであろう。
このように治安の良いイメージが根付いた東京でさえ、オリンピック開催を目前に控えて防犯カメラ市場はさらに需要が高まると予測されている。東京五輪の開催に伴う波及効果として、民間試算で約19兆円、ICT関連だけでも約1兆円の経済効果が見込まれている[2]。テロの脅威が叫ばれる今日、映像セキュリティシステムへの投資額は高まる一方である。オリンピックの開催は本大会だけでなく、前年の同時期に開催されるさまざまなプレ大会、歓迎行事など、数年前から熱を帯び始める。またオリンピックは「大会会場」だけではなく、観戦を目的に世界中から来日する多くの観光客が日本国内名所を訪れるため、防犯対策が必要なのは東京だけとは限らない。
開催までの残り3年、最新式の防犯カメラは訪日観光客をと地元住民の両者を安心させるカギとなりえるのだろうか。オリンピック候補選手が準備を進め、選考を進めるなかで、セキュリティ環境としての五輪の準備も着実に進んでいる。
(文/工藤崇)
参考:
[1] Monocle. (2016). Top 25 cities, 2016 https://monocle.com/film/affairs/top-25-cities-2016/