「マネロン対策のための郵便」が、顧客の個人情報を第三者に届けている?

個人情報が第三者の手に? 郵送ベースの継続的顧客管理が生む問題と解決策

金融機関は、犯罪収益移転防止法とFATF勧告に基づく「継続的顧客管理」の義務を果たすため、毎年数百万〜数千万通のハガキ・DMを顧客に郵送しています。また、クレジットカード会社も、更新カードを顧客に郵送しています。ところが、送付先の住所は引っ越し等により、実際の住所と“ズレて”いきます。

ズレた住所に届いた郵便物は、多くの場合「差出人に戻ってきません」※。戻ってこなければ配達成功として処理され、金融機関が管理する不着率には現れません。

つまり、マネロン対策として行われている郵送の一定割合は、顧客の氏名・住所・口座番号・カード番号を、本人ではない第三者――旧住所の新しい住人、同居する別姓の人、空き家の郵便受け、集合ポストから抜き取る誰か――に届けている可能性があります。規制を守るための行為が、個人データの漏えいを生んでいるという構造です。

そして、この構造は技術的に解決できます。全国の一般送配電事業者10社が保有する電力契約情報と照合し、「本人に届かない郵便を、そもそも出さない」という手法です。制度面の整理も2024年に完了しています。

※ 日本郵便の転送サービスについては後述。

不着率に表れないズレは過去最高水準に

金融庁の「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」への対応は、2024年3月時点で「態勢を整備するフェーズ」を終え、以降、金融庁では金融機関に対して有効性の検証と不断の見直しを求めています。そして、顧客情報を更新する手段として、金融庁のマネロンガイドラインによると「例えば、郵送物を送付し、顧客から回答を得る方法が一般的ではありますが(以下略)」と記載されています[1][2]。

しかし一方で、住所がズレる原因となる移動件数は、次の表のとおり過去最高水準となっています。報道でよく引用されるのは「市区町村間の移動者数」ですが、これは住所変更の一部にすぎません。金融機関が抱えるズレの母数は、総務省が公表している「住民基本台帳人口移動報告」に基づいて計算すると年間約638万人、市区町村内を含めれば約855万件になります[3]。

区分年間の人数・件数出典・注記
市区町村をまたぐ移動519万548人日本人452万8,254人+外国人66万1,794人。うち都道府県間251万5,731人、都道府県内(他市区町村)267万4,817人。
国外からの転入78万2,165人同上。海外赴任からの帰任・留学生・外国人労働者の入国等を含む。
国外への転出40万9,592人同上。転出後も口座・カードが残るため、郵送先が「不在の住所」になりやすい。
公的統計で捕捉できる小計638万1,905人上記3区分の合計。
同一市区町村内の転居約217万件(推計)公的統計に全国値はない。住民基本台帳人口移動報告は21大都市の自都市内移動のみを公表しており、これを人口規模と回帰させた民間推計値。=統計の死角。金融機関の住所ズレのうち、行政統計に現れない部分。
合計(推計)約855万件公的統計638万人+同一市区町村内の推計217万件。参考:同じ民間推計は2016年時点の転居総数を約742万件(転居率約5.8%)としており、市区町村間の水準(2016年約525万人→2025年519万人)はほぼ横ばい。

さらに、送付先が無人のケースも増加しています。総務省の統計によると、国内の空き家の数は899万戸、空き家率は13.8%でいずれも過去最高になっています[4] 。

一方でクレジットカードの不正利用被害額も、2025年に510.5億円と高止まりの状況です。そのうち偽造カードによる被害は7.2億円(1.4%)に過ぎず、番号盗用は475.4億円(93.1%)に上ります[5]。金融機関側から物理カードを再送する頻度は5〜7年に一度であり、住所更新の失念もあることを考えると、“ズレた”住所にカードが送付されることのリスクが懸念されます。

更新れたクレジットカードは、新たに使用する前にアクティベーションが必要なため、ズレた住所に届いても一定のリスク回避は可能だが、アクティベーションの際に不正取得された個人情報を使われてしまうリスクは残ったままです。

実際に、個人情報保護委員会に報告された漏えい等は、令和7年度第2四半期だけで個人情報4,533件(特定個人情報102件)。委員会は主な原因の一つとして「クレジットカードの誤送付」を挙げています[6]。有効期限が更新されたカードについては、利用再開時の本人認証(アクティベーション)によって一定の安全策は講じられています。しかし、不正に取得された個人情報がその認証プロセスで悪用される危険性は排除しきれません(詳細は後述)。

[1] 金融庁. (2025). マネー・ローンダリング等及び金融犯罪対策の取組と課題
https://www.fsa.go.jp/news/r6/20250627/01.pdf
[2] 金融庁. (2025). マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)II-2(3)(ii)⑩ Q3
https://www.fsa.go.jp/news/r3/202203_amlcft_faq/20220330.pdf
[3] 総務省. (2025). 住民基本台帳人口移動報告 2025年結果
https://www.stat.go.jp/data/idou/2025np/jissu/pdf/2025gaiyou.pdf
[4] 総務省. (2023). 令和5年住宅・土地統計調査
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/index.html
[5] 一般社団法人日本クレジット協会. (2026). 1997年〜2025年 クレジットカード不正利用被害の発生状況
https://www.j-credit.or.jp/information/statistics/download/toukei_03_g.pdf
[6] 個人情報保護委員会. (2025). 令和7年度第2四半期における個人情報保護法等の漏えい等報告の処理状況について
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/251210_shiryou-3.pdf


引越業界側から見た傍証

  • 引越大手サカイ引越センター1社の作業件数が年間81万8,932件(2025年3月期)[7]。上場する大手数社の合計でも、統計上の転居総数のごく一部しか担っていないことが分かります。これは、業者を使わない近距離・自力の転居が大量に存在することを意味しています。
  • 国土交通省は毎年「3月の引越件数は通常月の約2倍」として引越時期の分散を呼びかけています[8]。

[7] サカイ引越センター. (2026). 財務ハイライト「2025年3月期決算概要」
https://www.hikkoshi-sakai.co.jp/ir/finance.html
[8] 国土交通省. (2026). 引越時期の分散に御協力をお願いします!
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000349.html
※ 同一市区町村内の転居は、金融機関にとって最も厄介な類型です。同じ市内の移動は住民票の異動があっても金融機関に届け出られにくく、郵便番号も変わらないことが多いため、システム上のチェックにも引っかかりません。電力契約は住所単位で切り替わるため、電力契約情報で引っ越しの実態を検知できます。

郵送の総量 ― 銀行とカードで、年間1億通に近い規模

では、実際にどれだけの郵便物が送り出されているのでしょうか。母数となる口座数・カード枚数と、実務上の送付比率から試算してみました。

母数規模出典・注記
銀行の個人預金口座約6.7億口座7億口座を下回る水準(2026年)[9]。ピークの2001年3月は約8億9,600万口座で、そこから約2割減。減少要因の一つとしてマネロン対策・休眠口座整理が挙げられている。約6.7億口座は弊社把握の数字。
顧客確認の郵送対象口座の5〜10%程度ある地域金融機関の実績。弊社ヒアリングに基づく実感値であり、業界統計ではない。→ 全国ベースに単純当てはめると年間3,400万〜6,700万通規模。
クレジットカード発行枚数3億2,057万枚2025年3月末時点。回答243社の合計で前年比+2.2%[10]。成人1人当たり3.1枚。調査未回答社を含む実際の流通枚数はこれを上回る可能性がある。
更新カードの年間発送枚数約5,300万枚有効期限6年サイクルとして毎年1/6が更新される前提での概算。5年サイクルなら約6,400万枚。

継続的顧客管理の郵送と更新カードを合わせると、年間1億通に近い規模の郵便物が、送付先の住所に「本人が今も住んでいるか」を確かめずに送り出されていることになります。

[9] 日本経済新聞. (2026). 銀行預金口座、7億下回る 25年前のピークから2割減
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB151AR0V10C26A1000000/
[10] 一般社団法人日本クレジット協会. (2025). クレジットカード発行枚数調査
https://www.j-credit.or.jp/information/statistics/download/toukei_inumber_b.pdf

更新カードが普通郵便で送られるケースも

従来は対面受け取りの書留郵便が一般的でしたが、共働き世帯の増加やコロナ禍での受け取り利便性を理由に、更新カードを普通郵便に切り替えたクレジットカード事業者があります。

  • 普通郵便は郵便受けに投函されれば配達完了。誰が受け取ったかの記録は残らない。
  • 不在でも投函されるため、再配達依頼も発生しない。=顧客が「受け取れなかった」ことに気づく機会もない。
  • つまり、カード番号・有効期限・セキュリティコードが揃った郵便物が、本人到達の記録を一切残さない方法で、年間数千万枚の規模で送り出されています。

「不着率が低い=安心」ではない

継続的顧客管理業務において金融機関が管理しているKPIは「不着率」(郵便物が差出人のもとへ戻ってきた割合)です。ですが、不着率はあくまで「配達できたかどうか」の指標であって、「本人に届いたか」の指標ではありません。本人以外に届いたケースは郵便物が戻らないため、不着率には計上されないのです。

そして不着率に計上されるかどうかの分岐点は「本人が転居したかどうか」ではありません。郵便局が「宛名の人はここにいない」と判定できるかどうかです。同じ転居でも、旧住所の郵便受けの状況次第で、戻ってくる場合と新住人に届いてしまう場合の両方が起こります。

戻る(=宛名不在を判定できる)戻らない(=宛名不在を判定できない)
※転送サービスについては後述
・あて名の番地に住居が存在しない(番地誤り・建物取壊し)・表札や郵便受けの氏名表示から、宛名と現居住者の不一致が確認できる・住所表記が不完全で配達先を特定できない・受取拒否(記録が残る郵便)・集合住宅で郵便受けに氏名表示がなく、部屋番号だけで配達される・空き家でも郵便受けが機能しており、投函できる・同居する別の人(別姓を含む)が受け取る・集合ポストから第三者が抜き取る
→ 差出人に戻るため、金融機関は住所のズレを把握でき、対処できる。=不着として計上される。→ 本人に届いていないのに「配達成功」として処理される。不着率には現れず、金融機関は気づけない。

転居届(転送サービス)の扱い ― ここが誤解されやすい

  • 転居届を出していれば、届出から1年間は新住所へ転送される。この期間は本人に届く。
  • 1年を過ぎると、手続きがない限り転送されなくなる。その後どうなるかは旧住所の状況で分岐する。宛名不在を判定できれば戻り、判定できなければ旧住所に投函される。=「転送期間の超過」は、不着になる場合とならない場合の両方がある。
  • そもそも転居届を出さない転居も多い(特に同一市区町村内の転居)。この場合は転送も返還も起きず、旧住所に届き続ける。

※ 郵便局の配達可否の内部判定基準は公表されていません。上記は転送サービスの制度上の枠組みと、一般に説明されている運用に基づく整理です。

本来見るべき指標は「本人到達率」=契約者本人が実際に受け取った割合ですが、これを測っている金融機関はほとんどありません。不着率という指標そのものが、リスクを見えなくしています。

簡易書留でも本人到達は担保されない

対面での受け渡しと受領記録は残りますが、同居する別姓の人や代理人のサインでも受領できます。「記録が残ること」と「本人に届いたこと」は別の話です。

郵送物の第三者到達は「当局報告」に直結するリスク

第三者到達は、単なる業務事故ではなく法令上の報告義務に触れうる事象です。

  • 件数に関わらず報告対象になりうる:個人情報保護法26条1項および施行規則7条2号(財産的被害のおそれ)。クレジット/デビットカードを誤って第三者に郵送した場合、カード番号・有効期限が渡れば不正利用のおそれがあるため、1件でも報告義務が生じうる。
  • 件数で報告対象:同施行規則7条4号。漏えいのおそれがある個人データの本人の数が1,000人を超える事態。誤送付が積み上がれば到達しうる水準。
  • 金融機関は報告先が二重:金融分野ガイドラインに基づき、個人情報保護委員会に加えて金融庁長官・財務局長等の監督当局にも報告が必要。
  • 期限:速報は事態を知った後速やかに、確報は原則30日以内(不正目的によるおそれがある場合は60日以内)。本人への通知も必要。

なぜ第三者到達が金銭被害に直結するのか ― 被害の構造が「偽造」から「番号」へ移った

クレジットカードの不正利用被害の内訳は、この10年で構造が入れ替わりました。

2025年 被害額の内訳金額構成比
番号盗用被害475.4億円93.1%
その他不正利用被害27.9億円5.5%
偽造カード被害7.2億円1.4%
合計510.5億円100%

[9] 一般社団法人日本クレジット協会. (2026). 1997年〜2025年 クレジットカード不正利用被害の発生状況
https://www.j-credit.or.jp/information/statistics/download/toukei_03_g.pdf

偽造カード被害は7.2億円(1.4%)まで縮小し、被害はほぼ全額が番号盗用です。つまりカードを物理的に複製する必要はもうなく、番号・有効期限・セキュリティコードが第三者の目に触れれば、それだけで非対面決済の被害に直結します。

  • 更新カードの郵送物は、この3情報のすべてが1通に入っている。番号を「紙とプラスチックで物理的に移送する行為」である。
  • 現物のカードそのものも、タッチ決済であれば署名・暗証番号なしで使用できる。(ただし、新たなカードの使用前にはアクティベーションが必要)
  • 制度もこの構造を前提にしている。個人情報保護法施行規則7条2号が「財産的被害のおそれ」を件数に関わらず報告対象としているのは、カード番号と有効期限が第三者に渡ること自体をリスクと見ているためである。

さらに、郵送そのものが犯罪に便乗されている

「マネー・ローンダリング対策に関するガイドラインを踏まえ、ご登録情報の確認をお願いします」――これは本物の金融機関の文面でもあり、フィッシングの文面でもあります。

  • 金融機関が正当な理由で顧客への連絡頻度を上げるほど、それを模した詐欺が成立しやすくなる。
  • 本物の案内も顧客に「詐欺かも?」と誤認され、開封率・返送率が下がる。
  • 返送率が下がるので、金融機関はさらに送る。=対策の実効性が落ちながらコストだけが積み上がる悪循環。

金融機関が顧客に郵送等で連絡を送れば送るほど、コストが増えるだけでなく犯罪の温床を広げてしまう可能性があります。

解決策 ― 電力契約情報で「送る前に」居住実態を確かめる

弊社が提供する Grid Data KYC は、全国の一般送配電事業者10社すべてと提携し、約8,000万世帯の電力契約情報と金融機関の顧客情報を照合するサービスです。世帯カバレッジは99%超です。

仕組み

  • 金融機関から氏名・住所・郵便番号・電話番号を受領。
  • 「① 本人/② 家族(同姓)/③ 別名義(他人)/④ 電力契約なし(≒空き家)」の4象限に判定して返却。
  • 判定に応じて、郵送するか/郵送せずアプリ・電話に切り替えるか/リスク格付けを引き上げるかを決める。
  • 照合後、預かりデータおよび照合結果は原則3営業日以内に消去。サーバーは国内リージョン限定。

大切なのは「本人確認を厳しくする」ことではなく、本人に届かない郵便をそもそも出さないことです。漏えいリスクとコストが同時に下がります。

制度面の裏付け

制度内容
グレーゾーン解消制度の回答(照会2024年3月6日/回答2024年4月3日)[11]① 継続的顧客管理サービスの照合は、犯収法11条の「取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置」に該当すると解して差し支えない。② 電力契約者の個人データ提供は個人情報保護法27条1項1号「法令に基づく場合」に当たり、受電者本人の同意取得は不要と解して差し支えない。③ 電気事業法23条の目的外利用・提供にも該当しない。
電気事業法施行規則の改正(2023年12月13日)[12]犯収法11条に基づき特定事業者が取引時確認等を的確に行うための情報提供が、送配電事業者側の適正な提供として明文化された。
公的業務での先行活用電力データを居住実態の指標に使う手法は民間独自の評価ではなく、資源エネルギー庁が整備した枠組みのもと、自治体の防災・災害対応(罹災証明発行時の居住実態確認等)で実運用されている[13]。

※ ①〜③はグレーゾーン解消制度に基づく所管省庁の回答であり、個人情報保護法に関する整理については個人情報保護委員会にも確認済みです。

[11] 経済産業省. (2024). グレーゾーン解消制度に係る照会に対する回答
https://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/shinjigyo-kaitakuseidosuishin/press/240403_yoshiki.pdf
[12] 経済産業省. (2023). 電気事業法施行規則の一部を改正する省令「33条の6の2第4号」参照。
[13] 資源エネルギー庁. (2025). 自治体防災業務における電力データ利活用マニュアル
https://www.meti.go.jp/files/900017609.pdf

実データ ― 凍結要請口座の3分の1が「空き家または住所・氏名不一致」

実証実験を行った銀行様が、凍結口座(警察や弁護士から凍結要請を受けた口座)を対象に、Grid Data KYCで照合を行った結果がこちらです。

母集団区分構成比
① 空き家(電力契約なし)8.4%
② 契約者名義と口座名義人の姓名がともに不一致26.0%
①+② 合計34.4%
③ 住所と苗字が一致(家族の可能性)38.8%

犯罪利用が疑われて凍結要請を受けた口座のうち34.4%が、居住実態の照合で事前に検知できた可能性があることを示しています。口座開設時のチェックに組み込めば、なりすまし口座を効率的に防止しうるという評価です。

※ 母集団は「凍結要請を受けた口座」であり一般顧客の分布ではありません。

コスト面 ― 郵送15万件/返送率18%のケース

継続的顧客管理の郵送は、全顧客に一斉に出すものではありません。リスク格付けに応じて1~3年ごとに一度送るのが実務です。たとえば1,000万口座を保有する金融機関で、年間15万口座を対象に郵送で本人確認を行う場合の試算です。

前提値注記
年間の郵送対象15万件全顧客への一斉送付ではない。
郵送単価(返信用同封の封書)100円往復分
返送率(差出人に戻る率)18%=2.7万件弊社が金融機関から伺う実感値のレンジ
返送1件あたりの後続対応750円1件15分・人件費3,000円/時で換算。

現状

  • 郵送費 15万件 × 100円 = 1,500万円
  • 返送分の後続対応 2.7万件 × 750円 = 2,025万円
  • 合計 3,525万円

そして重要なのは残りの82%です。戻ってこなかった12万3,000件について、本人に届いたかどうかを確認する手段が現状ありません。ここが本当のリスクの所在です。

Grid Data KYC を送付前に挟んだ場合

  • Grid Data KYC 照合単価 70円/件(ボリュームディスカウント適用時)
  • 照合費 15万件 × 70円 = 1,050万円
  • 照合により「空き家・別名義」と判定され郵送を止める分を20%(3万件)と仮定 → 郵送は12万件 × 100円 = 1,200万円
  • 残存する返送を5%(6,000件)と仮定 → 後続対応 450万円
  • 合計 2,700万円(約23%/825万円の削減)

金額に表れない効果(こちらが本質)

  • 不着として戻ってきた対象の2.7万件は、「第三者に届く可能性が高い先への送付」を回避した件数。カードの誤送付は1件でも当局報告の対象になりうる。
  • Grid Data KYCは、戻ってこなかった郵便についても本人到達の見込みが把握できる。=KPIを「不着率」から「本人到達率」へ転換できる。
  • 返送対応に張り付いていた人員を、Grid Data KYCを使うことによって高リスク先の実質的な調査に振り向けられる。

※ 上記はすべて弊社の仮定に基づく試算です。郵送対象件数・返送率・後続対応の工数はいずれも金融機関ごとに大きく異なり、返送率18%・郵送停止率20%は仮定値です。

  • ※ クレジットカード会社の更新カード送付では、カード実費・再発行・廃棄コストが加わるため削減幅は大きくなります(更新200万枚規模で約42%の削減試算)。

FAQ

Q1. 本人の同意なく電力データを使うのは、プライバシーの侵害ではないか。

A.法令に基づく対応として整理済みです。
・グレーゾーン解消制度の回答(2024年4月3日)で、法令(犯罪収益移転防止法)に基づく措置として本人同意は不要と解して差し支えないとの回答を得ています。
・Grid Data KYCの結果として返却するのは「一致/不一致」「電力契約の有無」等のフラグであり、電力使用量や生活パターンは返しません。
・カウリスが金融機関から預かった顧客情報および照合結果は原則3営業日以内に消去します。
・法的にはGrid Data KYCの使用についての告知は必須ではありませんが、透明性の観点から申込ページ等で照合を明示した例があり、個人情報保護委員会からもその方向を推奨されています。明示することで不正申込みの抑止効果も確認されました。

Q2. 空き家判定を誤ることはないのか。

A. あります。寮や社宅などの集合住宅、一括受電の物件、自家発電世帯は照合エラーになりえます。
だからこそ、この結果は「即断のための答え」ではなく「本人確認をどこに集中させるかの絞り込み」として使う設計にしています。判定結果だけで取引を謝絶する運用は想定していません。

Q3. 郵送をやめれば済む話ではないか。

A. 更新カードの送付は契約上の義務であり、郵送を完全になくすことはできません。問題は「本人に届かない住所に出し続けること」であって、郵送そのものではありません。

Q4. 金融機関はこの問題を認識していないのか。

A. 認識の程度に差があります。不着率という指標が本人到達率を見えなくしていることが、問題の把握を難しくしています。

Q5. なぜカウリスができるのか。競合はいないのか。

A. 一般送配電事業者10社が金融犯罪防止を目的として外部にデータを開示する初のモデルであり、規制のサンドボックス制度・グレーゾーン解消制度を通じて制度面から積み上げてきた経緯があります。東証グロース上場企業として説明責任を負う体制で運営しています。

「Grid Data KYC」についての詳細をご希望の方は、以下より資料請求をお願いいたします。お問い合わせより個別相談会も承っております。内容を確認のうえ、営業担当より折り返しご連絡差し上げます。